【店頭販促】POPに追加すると購買意欲を高めるフレーズとは

来店した消費者が、商品を手に取りしばらく考えた後、そっと棚に戻して立ち去ってしまう…。

小売店ではよくある光景かと思います。

特に比較検討が必要な商品や、新しいカテゴリの商品では、消費者の頭の中に「一度持ち帰って調べよう」という心理が生まれがちです。

しかし実際には、「あとで調べる」ことすら忘れてしまい、機会損失が静かに発生しています。

では、どうすればその場で購入を決断してもらえるのでしょうか?

それは店頭のPOPに「ウェブサイトでも情報が見られます」というフレーズを追加することです。

消費者が手に取った商品を買わない理由

そもそも、なぜ消費者は店頭で商品を手に取って興味深そうに眺めても、買わないのでしょうか?

値段が高いとか、よく見るとデザインがイマイチだったとか、色々と理由はあるかと思います。

そんな中でも、小売店側が注意しておかなければならない理由が、「情報が多すぎることによる不安」です。

現在は、どの小売店でも差別化戦略として、変わった商品を店頭に並べ、多くの説明を記載しています。店員が口頭で伝えることもあります。

これにより、消費者は「親切だな」と思ってくれるでしょう。

しかし、それと同時に、情報が多すぎて覚えきれない、いま判断したらミスするかも、といった不安も抱えてしまうこともあります。

それによって、「今、買わなくてもいいか」となってしまうということです。

その不安を取り除くために、POPに「ウェブサイトでも情報が見られます」と書いておくのです。

こうした施策により、「今ここで情報を全て覚えて判断しなければならない」というプレッシャーを取り除くことができます。

スマートフォンや検索エンジンが生活の一部となった現在、人は「記憶する」より「いつでもアクセスできること」に価値を置くようになっていますから、こうした施策によって、その場での購買意欲を高めることができるのです。

「あとで確認できる」という安心感が購買意欲を高める

こうした消費者心理はテキサス大学のラジェシュ・バーガヴェ博士らの実験によっても、分かっています。

ワインフェスティバルで、「このワインについてはウェブサイトでも情報が見られます」と伝えられた参加者は、伝えられなかった参加者よりも、有意に購買意欲が高くなったのです。

さらに実際のワイン販売の店頭でも同様の効果が得られています。

こちらでは試飲をしてもらうときの説明で、ウェブにも情報があると伝えるパターンと、伝えないパターンで接客方法を分け、来店客ごとにランダムにどちらかの対応をしました。

その結果、ウェブにも情報があると伝えたときのほうが、売上が増えることが分かりました。

ワインのように、説明事項の多い商品では、一度に情報を全て覚えきれず、顧客は不安を覚えることもあります。

しかし「あとでWebで確認できる」という安心感を持てれば、不安が和らぎ、購買意欲が向上するのです。

「ウェブサイトでも情報が見られます」が逆効果になるとき

店頭POPに「ウェブサイトでも情報が見られます」と、記載するときの注意があります。

それは、「詳細な説明」と組み合わせないと逆効果になるということです。

先ほどのワインショップの実験では、ウェブでも情報が見られると伝えられたときに、逆に売上が下がってしまうパターンがありました。

それは、説明が簡潔だった場合です。

説明が簡潔であれば、顧客は簡単に理解できて忘れる心配もないので、購買意欲が高まりやすいと思うかもしれません。

確かに、何もなければその可能性が高いでしょう。

しかし、この状況のときに「ウェブにも情報があります」と伝えてしまうと、マイナス効果になるのです。

なぜなら顧客の中に「そうか、まだ知るべき情報があるのか、ならばもっと詳しく知ってから買おう」という心理が生じてしまうからです。

「Amazonでもっと安く売ってるかも」と思わせないように注意

「ウェブにも情報があります」というフレーズを購買意欲の向上につなげるには、「どのタイミングで」「どれくらいの情報量のときに」伝えるかを見極めることが重要です。

家電や化粧品など説明が多くなりがちなカテゴリでは、「この商品の情報は当店の公式サイトでもご覧いただけます」とPOPで伝えるのが効果的です。

あくまでも、同じ情報量があるという伝え方が重要です。それ以上の情報があると感じられてしまうと、その場での購入を先延ばしされるリスクがあるからです。

また、シンプルな日用品などの場合は、あえてウェブサイトへの案内を省いたほうが、購買に直結することもあります。

それともう一つ、代替可能な商品の場合、ウェブサイトにも情報があるという一言が、マイナスのトリガーになってしまう可能性も考慮しなければなりません。

せっかく実店舗にいるのに、ウェブを意識させられると、「Amazonで同じようなものがもっと安く売ってるかも」と思わせてしまうことがあるからです。

参考文献:Bhargave, R., Mantonakis, A., & White, K. (2016). The Cue-of-the-Cloud Effect: When Reminders of Online Information Availability Increase Purchase Intentions and Choice.