ランディングページのABテスト事例!短いLPのほうが効果が高い

せっかくネット広告を出稿してユーザーにクリックしてもらっても、ランディングページ(LP)の内容がイマイチだと申込や購入にはつながりません。

ランディングページ(LP)をどう設計するかによって、コンバージョン率は数パーセント単位で変化します。

ではコンバージョン率を高めるランディングページとはどのようなものなのでしょうか?

他社のランディングページを見ると、長い文章と複数の画像によって大量の情報を発信しているものが多いです。

それを見て「詐欺っぽい…」「自社でそこまでやるのは…」と感じている担当者もいるかと思います。

そのようなときは文字数(情報量)に主眼を置いてランディングページを設計してみてください。

長いLPと短いLPのそれぞれのメリット

長いランディングページと短いランディングページにはそれぞれにメリットがあります。

まず、長いランディングページは情報量が多いため、消費者に安心感を与えることができます。

オンライン取引においては得られる情報に限りがありますから、分からないことがあると消費者は不安や疑念を抱きやすくなります。

そこで商品説明や保証などについて詳しく書くことで、そうした不安を取り除くことができます。

企業が積極的に情報開示すると、「品質の高さ」や「誠実さ」を示すシグナルとして機能することが複数の研究からも分かっています。

一方で、文字数が多すぎると消費者の脳内の認知的負荷を高め、混乱やストレスを生じさせることがあります。

人間の注意力は限られたリソースですから、情報が多くなりすぎることで、選択できなくなってしまうのです。

また「知識ギャップ」といって、完全な情報よりも曖昧さや不完全さがある情報のほうが好奇心を刺激し、行動意欲を高めることもあります。

こういった面では短いランディングページのほうが有利といえます。

ランディングページのABテスト

実際のところ、ランディングページの情報量は多い方が良いのでしょうか?それとも少ない方が良いのでしょうか?

それを調べたニューヨーク州立大学のニム・ドヴィル博士らの実験があります。

この実験では以下の2パターンのランディングページを用意して、検索広告(Google広告)を出稿し、ABテストを実施しました。

  • 長いランディングページ:サービス内容、価値、個人情報の扱い等を記述(1,501文字)
  • 短いランディングページ:最低限のテキストとメール登録フォームのみ(211文字)

上記2パターンでコンバージョン率(=メールアドレスを登録したユーザーの割合)を確認しました。

その結果、以下の通りとなりました。

  • 長いランディングページ:13,543件の訪問者のうち3,932人が登録(29%)
  • 短いランディングページ:13,540件の訪問者のうち5,660人が登録(42%)

短いランディングページのほうが高い割合でメールアドレスが登録されたのです。

(どちらにしてもコンバージョン率が高すぎる気がしますが購買や申込ではなく、ただのメールの登録だけだったことが要因かと思います)

なぜ短いランディングページのほうがコンバージョン率が高いのか

なぜ短いランディングページのほうがコンバージョン率が高かったのかというと、やはり情報処理の負荷が少ないことが要因と考えられます。

特に現代人は様々なサイトを見ながら膨大な情報に触れているため、長い説明を読むと認知的負荷が高まり、理解することを面倒に感じがちです。

そのため、「読む」よりも「離脱する」という行動をとりやすくなるのです。

これに対して短いランディングページは余計な情報が省かれているため理解が容易となり、そのまま行動(メールアドレスの登録)に移りやすくなったのです。

また、情報量が多いほど安心感や信頼性を与えられるといわれていますが、実は情報量が少ないときも信頼性が高まることがあります。

なぜなら人間には「理解しやすいものは信頼できるもの」と考える性質があるからです。これを認知心理学で流暢性ヒューリスティックといいます。

短文で簡単に理解できるランディングページではこの流暢性ヒューリスティックが発生した可能性もあります。

ランディングページを制作するときのポイント

今回のABテストはメールの登録という手軽な行動だったため、購買や申込のためのランディングページでは異なる結果となる可能性もあります。

しかし、これからランディングページを制作していきたい企業にとっては参考となる部分も多いかと思います。

この知見をもとに企業が取るべき具体的な戦略を説明します。

【ポイント1】最小限の情報量で核心を伝える

ランディングページを作成する際には、伝えたいことをすべて載せるのではなく、ユーザーが行動を起こしやすい情報量に調整しましょう。

情報を詰め込みすぎると、ユーザーは読むのに疲れてしまい、途中で離脱してしまうことがあります。

したがって、ランディングページや広告文は「最小限で核心を伝える」ことを意識し、余分な説明は省略することが効果的です。

【ポイント2】直感的な使いやすさを意識した設計

ページ設計では直感的な使いやすさを意識してください。

登録フォームは短くシンプルにし、入力項目を最小限に抑えます。

また、画面全体の視覚的な負担を減らすため、空白や余白を意識的に取り入れるとよいです。

これにより、ユーザーは情報処理に迷わず、コンバージョンまでスムーズに進めるようになります。

【ポイント3】一貫したトーンで安心感を与える

信頼を築く手段としては、情報量を増やすのではなく、デザインや一貫したトーンで安心感を与える方法を検討しましょう。

長い説明文よりも、わかりやすいレイアウトやCTA(行動喚起ボタン)などが信頼感を生み出します。

たとえば、「無料で始める」「今すぐ体験」など、短く明確な言葉で行動を促すことが効果的です。

負担を減らしてコンバージョン率を高める

この研究は、デジタルマーケティングに新しい視点をもたらしてくれました。

これまでのウェブ戦略は「注意を奪う」ことに主眼を置いてきましたが、「負担を減らす」という点もコンバージョン率を高めるためには有効なのです。

ユーザーに考えさせない導線、迷わせない構成、押しつけない語り口。

こうした静かな説得が飽和した情報社会の中で逆に際立つことになるでしょう。

A/Bテストを継続的に実施し、自社のターゲット層にとって最も効果的な情報量と表現を見つけてください。

参考文献:N Dvir, R Gafni. (2018). When Less Is More: Empirical Study of the Relation Between Consumer Behavior and Information Provision on Commercial Landing Pages.